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12月はドル安の月、今年は別の要因も浮上か
ニューヨーク(ダウ・ジョーンズ)ドル相場にとって12月はいつも厳しい月となるが、今年も例外ではないだろう。ただ、今回ドル安を招く要因は、例年とは異なるかもしれない。
今年12月のドルの下げは、一般的にドルの弱気材料となる四半期末の持ち高調整や、休日を控えて銀行が業務を軽減することに伴う米国債の需要後退が原因となる公算は小さい。
それよりも、米連邦準備制度理事会(FRB)が事実上の「量的緩和」という危険な道に足を踏み入れている現在、ドルの価値に対するより長期的な懸念を背景に、ドルは売り圧力を浴びる可能性が高い。
信用市場の凍結解除に向けた巨額の救済措置の資金を工面するために、FRBはマネタリーベースを拡大させているとアナリストらは指摘している。これはつまり、金融システムに出回る貨幣の「量」を増やすと言うことで、本質的にはドル相場にとって好材料にはならない。
また、極端なリスク回避傾向がこのところ後退していることも、ドル売りにつながっている。ここ数カ月はリスク回避の強まりによって、投資家らがドルを「安全」な準備通貨として買い入れたため、ドルは支えられてきた。リスク回避の動きが引き続き弱まるようであれば、12月第1週が始まると共に、ドルはユーロをはじめとする主要通貨に対して売り込まれる可能性もある。
「従来ドルが下落する12月が迫るにつれ、ドルの支援材料はなくなっていく。その上、FRBが量的緩和に着手したため、ドルの下落リスクは高まっている」とバンク・オブ・アメリカの為替ストラテジスト、デビッド・パウエル氏は指摘した。
こうした背景から、今週の取引ではユーロが1.25ドル〜1.32ドルで推移し、ドルは93円〜97円での展開となるとアナリストらは全般に予想している。
このように、ドル相場は12月には困難に見舞われるとの警告が発せられているが、これにくぎを刺すアナリストも存在する。世界の景気減速とそれに伴うリスクを回避できる国や地域など存在しないため、投資家らはドルを売ったからといって、ユーロなどの諸通貨を買いたがらない可能性があると言うのだ。
「ドルは向こう数週間、主要通貨に対して引き続き調整的に下げる可能性が高いが、調整が大幅なものになるかどうかは分からない」と、ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの為替アナリストらは調査レポートで指摘している。
また、欧州中央銀行(ECB)が4日の定例理事会で追加利下げを実施するとの見通しがユーロを圧迫しており、これがドルの支援材料になっているとも説明している。
欧州連合(EU)の統計機関ユーロスタットが11月28日に発表したユーロ圏15カ国の11月総合消費者物価指数(CPI)速報値は、前年同月比2.1%の上昇となった。10月の3.2%の伸びを大幅に下回ると共に、1997年の統計開始以来、単月では最大の落ち込みを記録した。
このため、ECBはインフレ圧力に対する懸念を弱め、おそらく0.75%の利下げを実施する公算が大きいとアナリストらはみている。そうなれば、ユーロ圏の政策金利は2.50%まで引き下げられる。
ただ、ECBの0.75%の利下げを受けてドルが一時的に上昇したとしても、12月は日を追うごとに量的緩和への懸念が注目を集め、ドルへの下げ圧力は加速するだろう。
米経済が低迷し、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標は1.00%まで引き下げられているため、待望の経済成長を促すという点で、金融政策にできることは限られている。そのため、信用市場の機能再開に向け新たに巨額の救済計画に取り組むFRBは、マネタリーベース、つまり流通する貨幣の「量」を増加せざるを得ない。
FRBは先週、高止まりする住宅ローン金利を低下させるための措置として、最大6,000億ドルの不動産担保証券(MBS)を買い取る意向を表明した。また、学資ローンや自動車ローン、クレジットカード・ローン、中小企業向け融資などを担保とする資産担保証券(ABS)の保有者に対し、最大2,000億ドルを貸し出す計画も発表した。
結果として、FRBのバランスシートに計上されているローンなどの資産は近く3兆ドルに達する。9月中旬と比べると、3倍にも膨れあがることになる。
ユーロは7月中旬に1.6040ドルの過去最高値をつけたが、ドルはそれ以降、ユーロに対し27%上昇している。ただ、FRBが政策金利を1.00%という危機的な水準に引き下げたうえでマネタリーベースを拡大しているという現状では、さらなるドル高はあり得ないだろうと、アナリストらは指摘している。
「米経済の減速と商品相場の下げ圧力によって、米国内におけるドルの価値(インフレ調整後)への影響は先送りにされるだろうが、米国以外でさらに早く景気減速が進む可能性も高い」とバンク・オブ・アメリカのパウエル氏は指摘した。
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