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ユーロ圏周辺国、経済混乱でユーロ加盟加速か
ニューヨーク(ダウ・ジョーンズ)ユーロ圏の周辺国で起きている経済的な混乱を反映し、ユーロ相場は圧迫されているが、少なくともユーロ加盟国には「仲間」がいる。
ユーロ圏以外の欧州通貨は、世界経済を襲った流動性ひっ迫によって打撃を受けており、その影響は、こうした周辺国の主要貿易相手であるユーロ圏にまで波及している。
しかし、ユーロは一部周辺国と異なり、制度崩壊の危機にあるわけではない。これらの周辺国には、金融市場の混乱に対処する多国間の枠組み、という緩衝材があるわけでもなく、また、自国通貨が準備通貨としての地位を持っているわけでもない。金融市場が歴史的な混乱に見舞われるなか、一部の政治家がユーロ加盟を口にするには、こうした事情がある。
「混乱期には、安全への逃避が見られる。ユーロはドルや円と同様に、準備通貨として評価されている。この機会を利用(してユーロ加盟を推進しようと)する政治家がいるのも当然だ」とRBCキャピタルマーケッツのシニア新興市場ストラテジスト、ポール・ビスコ氏は述べた。
欧州復興開発銀行(EBRD)のミロウ総裁は、先日行われたダウ・ジョーンズ経済通信とのインタビューで、ユーロに加盟していれば、一部の国々は為替レートの急落を回避できたはずだと述べた。
2004年に欧州連合(EU)に加盟した東欧8カ国は当初、2007年にユーロに加盟することになっていた。だが、実際に加盟に至ったのはスロベニアだけで、2009年1月にスロバキアが続く見込みだ。
「『楽しみは1人で、苦しみは仲間と』という昔の教訓に再び学ぶべきだ」とミロウ総裁は語った。
ポーランドのトゥスク首相とカチンスキ大統領は、ユーロ加盟をめぐって対立してきたが、同国は現在、ユーロ導入に向かって進んでいる。ポーランド政府は28日、2012年1月1日のユーロ導入を目標とすることを正式に発表したが、トゥスク首相は、カチンスキ大統領が「政府のユーロ導入計画を、これまで以上に温かく見守ること」で納得したと述べた。
ポーランド政府は声明で、ユーロ導入は「ポーランドの戦略的利益のため」だとし、ユーロを導入すれば、為替リスクや国内企業の取引コストが低下する一方、対外貿易の拡大や投資資金の流入が促されると指摘した。
カチンスキ大統領は、ポーランドが隣国スロバキアのようにすでにユーロ導入に向けて大きく前進していれば、ポーランドズロチは先週ハンガリーフォリントが急落した影響をそれほど受けなかったとみられるため、ユーロ導入は「検討に値する」と指摘した。
市場の混乱は、新興市場以外の地域にも拡大した。
デンマーク国立銀行(中央銀行)は24日、軟調なデンマーククローネ相場を下支えするため、今月2回目となる利上げに踏み切った。
デンマーククローネは1999年以降、ユーロとのペッグ制を採用しており、クローネの為替レートを維持するための金融政策は従来、欧州中央銀行(ECB)と連動した形で行われてきた。ただ、金融市場の動揺が高まっている中でデンマーク中銀は24日、今月に入って3回目、年初からは4回目となる異例の独自政策に踏み切った。
結果的にデンマークなど周辺国では、インフレ上昇をともなった景気減速がさらに長期間する恐れが高まっているが、一部のアナリストらはこれについて、ユーロを導入していないことと関連があると指摘している。
ユーロ導入の積極推進派であるデンマークのラスムセン首相は最近、ユーロ導入支持の世論喚起に努めており、(ユーロを導入していないことによる)不利な点として、国内金利の上昇やユーロ圏の危機対策への影響力低下などに焦点を当てている。
ラスムセン首相は、現議会の任期が終了する2011年までに、ユーロ導入の是非をめぐる国民投票を実施する方針だ。同国で2000年に実施された国民投票では、すでにユーロ導入は否決されている。EU加盟27カ国のうち、12カ国が非ユーロ加盟国だ。デンマークと英国は正式な非ユーロ加盟国であるが、EUはスウェーデンに対し事実上、オプト・アウト(適用除外条項)を認めている。
こうした国々が直面しているジレンマの背景には、短期資金が相当な勢いで流出していることがある。投資マネーは、リスクを伴う資産の大半から引き揚げられている。
小国経済が資金流出の結果生じるリスクを相殺するための解決策は3つある。1つめは、巨額の外貨準備を積み上げ、為替相場を望ましい水準に誘導するために外貨準備を利用するという手段だ。2つめは、アイスランドやウクライナのように国際通貨基金(IMF)などの融資制度を利用したり、米連邦準備制度理事会(FRB)の期日物資金入札供給(TAF)のような制度を創設することである。
そして、欧州の小国にとって3つめの選択肢が、ユーロ圏に加入することだ。
「長期的には、一部の国がこうした結論に達するのは間違いないだろう」とスタンダード・ライフ・インベストメンツのグローバル戦略ヘッド、アンドリュー・ミリガン氏は指摘する。
確かに、ユーロに加盟すれば、金融政策の独立性を失い、経済状態が異なる加盟国との妥協点を探る必要に迫られる。だが、経常収支の大半を外資に依存している国なら、財源基盤安定のため、ユーロに加盟することが価値のある選択である可能性はある。
しかし、「(ユーロ加盟という選択で)問題となるのは、理論経済学的な事柄ではない」とミリガン氏は付け加えた。
デンマークやアイスランドなどの国々には、それぞれ固有の伝統がある。
「問題は社会的な事柄の方だ。つまり、欧州連合(EU)当局の保護を受けている、という負い目を持ってしまうことが問題なのである」とミリガン氏は述べた。
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